2026年7月14日より上野公園にある東京国立博物館平成館で開催されている「弘法大師生誕1250年記念 特別展 空海と真言の名宝」にさっそく見学に行ってきました。

国宝15点を含む約90点というかなり見応えのある展示ですので、少しでも理解が深まるようにと音声ガイド付きチケットを選びました(基本的に特別展があるときには音声ガイド付きでチケットを購入しています)。作品を眺めるだけでは気づかない背景や意味を知ることができて、理解がぐっと深まるのでおすすめです。
曼荼羅や仏像はもちろんですが、今回は絵巻物が特に気に入りました
真言密教といえば曼荼羅、そして大日如来をはじめとする仏像、どれもすばらしいのですが、十一面観音菩薩や千手観音菩薩は本当に細かく細かく彫刻されていて、かなり見入ってしまいました。
博物館の展示で仏像を見るときの良い点は、お寺では見ることのできない角度から仏像を鑑賞できることです。正面だけでなく、横から、後ろから。背中や光背の造形まで見ることができるのは博物館展示ならではです。
今回は、国宝・五智如来坐像(平安時代:京都・安祥寺)がなんとカメラ撮影OKでした。

個人的に、今回いちばんじっくり見て良かったのは絵巻物です。
教科書でもおなじみの『信貴山縁起絵巻』(国宝 平安時代:奈良・朝護孫子寺)。「飛倉巻」は校倉造りの倉が空を飛んで行って、それを驚いて見上げる人々が描かれているという不思議な絵ですが、教科書の中の絵を実物で見られるというのはかなり感動します。
『石山寺縁起絵巻』(重要文化財 鎌倉~南北朝時代:滋賀・石山寺)もよかったです。想像していたよりカラフルでしっかりはっきり描かれている印象でした。
また、曼荼羅図の展示の途中で、虫取り網のようなものを持った仏様を偶然見つけて、足が止まりました。もちろん虫取り網ではないのでしょうが、こうした「ん?」と思う瞬間も楽しいです。
今回初めて知ったことの一つに「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」の重要な位置づけがありました。鎮護国家や五穀豊穣を祈る真言宗最高の法会です。現在でも京都の東寺(教王護国寺)で毎年正月8日から14日まで行われています。
空海が築いたものが、一人の僧侶の教えをこえて、国家や社会とも深く結び付いた文化として受け継がれてきたのだと感じます。
なぜ空海の教えが1200年経った今でもこれほど多くの人々の関心と信仰を集め続けているのか
空海は1200年前の人物です。普通なら歴史の教科書の数ページで終わっても不思議ではありませんが、それなのに今日も多くの人が展覧会へ足を運び、高野山を訪れ、お遍路を歩き、教えを学んでいます。一人の人物の影響が、これほど長く続くこと自体が奇跡のようにも感じます。
今回の展覧会は、空海という人物だけでなく、1200年の長い期間にわたり、それを守り続けてきた多くの人々の営みを見せてくれる内容となっていました。
駆け足で回ったつもりでしたが、それでも約2時間30分。じっくり見れば、一日いても足りないボリュームです。
思想、文化、祈りなど、形を変えながら次の世代へつながっていく。そんなことを考えた、静かで豊かな時間でした。



