以前、多肉植物に興味をもって調べていた時期がありました(多肉植物図鑑買いました)。多肉植物にはなかなか面白い名前のものがあります。「乙女心」「月兎耳」「熊童子」。植物の名前というよりかはどこかの物語に出てきそうです。そんな中でなぜか妙に記憶に残った名前がありました。
「ふっくら娘」
「福だるま」とも呼ばれる丸みのある葉がかわいらしい多肉植物です。たしかにふっくらしています。写真を見ても「なるほど、ふっくら娘ですね」と納得できます。ただ、その名前を見たときにふと気になったことがありました。
多肉植物なのだから、そもそも「ふっくら」の仲間なのではないか。
多肉植物は葉や茎などに水分を蓄えているため、肉厚な姿をしたものがたくさんあります。つまり、ふっくらしていること自体はそれほど珍しくありません。その中であえて「ふっくら」を前面に押し出している。
なんとなくわかる気もします。単に葉が厚いのではありません。丸い。というより丸っこい。葉っぱ全体がいい具合にふくらんでいます。なるほど確かに「ふっくら」と呼びたくなりますが、ここでひとつ余計なことを考えました。
「ぷっくり娘」ではダメだったのでしょうか。
「ふっくら」と「ぷっくり」…そっくりです。意味もよく似ています。ただ、受ける印象が少し違います。
たとえば、ふっくらした頬。柔らかく穏やかな感じがします。一方、ぷっくりした頬。こちらもかわいらしいのですが「頬がぷくっと膨らんでいる」という形のほうに目が向きます。
食べ物でもそうです。ふっくら炊き上がったご飯。これはとてもおいしそうです。ぷっくり炊き上がったご飯…。間違いではないのでしょうが一粒一粒が妙に自己主張している感じがします。どうやら「ふっくら」と「ぷっくり」は近い距離にいるものの同じではなさそうです。
ぷっくり娘は、少し拗ねそう。
植物に戻ります。ふっくら娘。なんだかおっとりしています。日当たりのよいところでのんびり育っていそうです。多少水やりが遅れても「大丈夫ですよ。蓄えておりますので」くらいのことを言いそうです。
では、ぷっくり娘。こちらは少し違います。「お水、まだ?」と言いそうです。そして気に入らないことがあると「もう知りません」と頬をぷくっと膨らませそうです。もちろん多肉植物はしゃべりません。
膨らみなのか、育ちなのか。
もう少し考えてみます。「ぷっくり」には何かが内側から押し出されてぷくっと膨らんだ感じがあります。つぼみがぷっくり膨らむ。頬をぷっくり膨らませる。目に入ってくるのはその「膨らみ」です。
一方「ふっくら」は少し違います。ふっくら炊けたご飯。ふっくら焼けたパン。ふっくらした頬。こちらには何かを無理に膨らませたというより時間をかけて自然にいい具合になった感じがあります。
「ぷっくり」は膨らみを見ている。「ふっくら」は育ちを見ている。
だからあの丸っこい多肉植物には「ぷっくり娘」より「ふっくら娘」のほうが似合うのかもしれません。実際に名前をつけた方がそこまで考えていたのかは知りません。単に語感がよかっただけかもしれません。そもそもこんなことを考える必要があったのかもわかりません。
生活には何の支障もありません。答えがわからなくても困りません。結局、正解はわかりませんが、ぷっくり娘はときどき拗ねると思います。







