ある男性の戸籍に子を「認知」した記録がありました。そして、その後に生まれた子についても同じように認知の記録が続いています。
認知された子の戸籍を確認すると同じ女性が筆頭者となっている戸籍に入っていました。男性と女性は婚姻していません。
どのような家族関係なのだろう。最初に男性の戸籍だけを見たときにはよく分かりませんでしたが、認知された子が記載されている戸籍も確認してみると…。
女性も男性も「分籍」していた
女性はもともと親の戸籍に入っていました。そこから「分籍」をして自分を筆頭者とする戸籍を作っています。分籍とは今いる戸籍から分かれて自分を筆頭者とする新しい戸籍を作ることです。その後、女性の戸籍に子が入りました。
一方、男性の戸籍を改めて確認すると、こちらも親の戸籍から分籍して自分を筆頭者とする戸籍を作っています。そして子を認知していました。
二つの戸籍を見比べていてもう一つ気づきました。男性と女性の本籍が同じ場所なのです。
戸籍は別々。でも、本籍は同じ
女性を筆頭者とする戸籍。男性を筆頭者とする戸籍。二人は同じ戸籍に入っているわけではありません。それぞれが自分を筆頭者とする別々の戸籍を持っています。ところが本籍としている場所は同じです。
本籍が同じだからといって同じ戸籍になるわけではありません。そして女性の戸籍にいる子については男性からの認知が記録されています。その後に生まれた子についても出生後ほどなく同じように認知されていました。

一つ一つは戸籍に記載されている事実です。けれども、こうして並べてみると最初に男性の戸籍だけを見ていたときには分からなかった家族の形が見えてきます。
もしかすると事実婚なのだろうか
ここまで確認して一つの可能性が浮かびました。この二人は法律上の婚姻をせず事実婚という形で家族として暮らしているのではないか。もちろん、戸籍だけから事実婚であると断定することはできません。一緒に暮らしているのか。生計を共にしているのか。そうしたことは戸籍には書かれていません。
戸籍から確認できるのは二人がそれぞれ親の戸籍から分籍していること。別々の戸籍の筆頭者になっていること。その本籍が同じ場所であること。そして、女性の戸籍にいる子について男性が認知をしていること。そこまでです。
ただその事実を時系列に並べてみると、法律婚とは異なる一つの家族の形なのかもしれないという可能性が見えてきます。
戸籍には「なぜ」は書かれていない
戸籍にはさまざまな出来事が記録されています。出生、婚姻、離婚、養子縁組、認知、いつ分籍したのかも残ります。ところが「なぜ、そうしたのか」は書かれていません。
なぜそれぞれが親の戸籍から分籍したのか。なぜ同じ場所を本籍にしたのか。なぜ法律婚という形を選ばなかったのか。本当の理由は本人たちに聞かなければ分かりませんし、戸籍だけを見て決めつけることもできません。
それでも、一つ一つの記載を拾って時系列に並べてみるとその向こうにいる人たちの暮らしがほんの少しだけ見えてくることがあります。戸籍に書かれている事実だけをたどっていった先に現代の一つの家族の形がぼんやりと見えてきました。










