ずっと、そばに。

いつも利用している祖師ヶ谷大蔵駅に箱根そばがあります。駅を使うたびに前を通るのですっかりいつもの風景です。先日もいつものように前を通りました。

あれ?なんとなくいつもと違います。普段ならそばの写真と値段が入ったメニューが掲げられている場所に大きな一枚の写真。そばの上にはものすごく大きなかき揚げ。

そして「ずっと そばに。」と書いてあります。なんだか気になって思わず写真を撮りました。

祖師ヶ谷大蔵駅で見かけた箱根そばの広告(筆者撮影)

なるほど。「蕎麦」と「傍」をかけているんですね。…あと、かき揚げが大きい。そばの広告なのにかき揚げのほうが主役にも見える。なぜこんなにかき揚げが大きい?ちょっと気になって調べてみました。

箱根そばの公式サイトでは「かき揚げ天そば」が不動の人気商品と紹介されていました。たしかに箱根そばでは季節ごとにいろいろなかき揚げが登場します。何度も利用しているのに「箱根そばといえばかき揚げ」というところまで意識したことはありませんでした。ちなみに私は、かき揚げも好きですが春菊天のほうがもっと好きです。

さらに調べてみると「ずっと そばに。」という言葉にも背景がありました。箱根そばは2025年に60周年を迎えていますが、その60周年で掲げられた言葉が「ずっと そばに。」でした。(箱根そば60周年特設ページより)

それを知ってあの広告を見ると少し違って見えてきます。長いあいだ小田急沿線の日常の「傍」にあった箱根そばと、その箱根そばの定番として「蕎麦」と一緒にあったかき揚げ。もちろん、広告を作った方が実際にどこまでの意味を込めたのかは分かりませんが。

巨大なかき揚げと「ずっと そばに。」だけでいろいろ考えてしまうのもなんだか面白いものですが、そもそもなぜ写真まで撮ってしまったのか。

普段のメニュー看板には商品名も値段も書いてあります。何が食べられるのか。いくらなのか。必要なことはちゃんと分かります。でもその看板を写真に撮ったことはありません。今回は、値段もない。商品の詳しい説明もない。巨大なかき揚げがあって「ずっと そばに。」それだけ。

よく分からなかったから気になったんですね。何かを伝えようとするとついつい説明したくなります。あれも書いておこう。これも伝えておこう。もう少し説明したほうが親切かなと。

でも、全部分かってしまうものより「ん?これはなんだろう」とほんの少し余白があるもののほうが気になってしまうこともあるようです。

実際、私は足を止めて写真を撮りました。いつもの駅で見つけたいつもと少し違う一枚。特別なところへ出かけなくてもいつもの街をちょっときょろきょろしてみると「なんだこれ」が案外転がっているのかもしれません。