遺言で寄付をする―寄付先を決めるまで

遺言書を作るときに、多くの方は家族や親族に財産をどのように残すかを考えます。しかし、財産の行き先は必ずしも家族や親族に限られるわけではありません。長年応援してきた活動や社会のために役立ててほしい団体に自分の財産を残すこともできます。

このように、遺言によって財産を寄付することを「遺贈寄付」といいます。

寄付したい。でも、どこに?

以前、遺言作成のご相談で、財産を親族ではなくどこかの団体に寄付したいというご希望を伺ったことがありました。

その時点では具体的な寄付先は決まっていませんでしたが、後日、ご本人からかつて縁のあった活動に関係する団体を寄付先として考えているというご連絡をいただきました。そして、さらに時間をかけて考えられた末にその団体への寄付を決心されました。

寄付したいという思いが先にあって、その後に人生の中で生まれた縁が寄付先を選ぶきっかけになったようです。

遺贈寄付を考える方の中には最初から寄付先が決まっている方もいらっしゃるでしょう。一方で、財産を誰かのために役立てたいという思いはあってもどこに寄付するかまでは決まっていないこともあると思います。

そんなときにはこれまでの人生を少し振り返ってみるのもひとつの方法かもしれません。子どものころの思い出、若いころに経験した出来事、長年関心を寄せてきた活動など。普段はあまり意識していなかった遠い昔の記憶が財産の行き先を考える中でふとよみがえるかもしれません。

寄付先を決めるまでの時間も大切に

寄付先の候補が思い浮かんだからといってその場ですぐに決める必要はありません。なぜその団体が気になったのか。どのような活動をしているのか。自分の財産を託す先として納得できるのか。少し時間を置いて考えることも大切です。

最初は「ここに寄付するのもよいかもしれない」という気持ちだったものが、考える時間を経て「ここに託したい」という具体的な意思に変わっていくこともあるでしょう。反対に、改めて考えた結果、別の寄付先を探すことになるかもしれません。

どちらであっても、大切なのはご本人が納得して決めることです。寄付先を決めるまでの時間も遺贈寄付を考えるうえで大切な過程なのだと思います。

思いを実現するために

寄付先が決まったら、その希望を実現するための準備が必要になります。寄付先の団体が遺贈による寄付を受け付けているかを確認し、団体の正式名称や寄付する財産の内容を遺言書に記載します。また、遺留分を有する相続人への配慮や遺言執行者の指定なども大切なポイントです。

今回ご紹介した方も、寄付先を決められた後に遺言書の作成を進めることになりました。最初のご相談では具体的な寄付先はまだ決まっていませんでしたが、後日、ご本人から思いがけない候補をお知らせいただきました。

遺言作成のお手伝いをしていると、ご本人のお話から思いもよらない展開になることがあります。