おひとり様の終活を考えるとき「自分のお墓をどうするか」も気になることのひとつです。お寺のお墓、民間霊園、納骨堂、樹木葬などいろいろな選択肢があります。
では「お墓を継いでくれる人はいないけれど自分がどこに入るのかは元気なうちに決めておきたい」といった希望に応えてくれるお墓はあるのでしょうか。
実は、東京都が設置する「都立霊園」の中にもそんな選択肢があります。
自分が入るお墓を生前に申し込めます
都立霊園というと「○○家之墓」と刻まれたお墓が並び、親から子へ、子から孫へと受け継いでいく墓地を思い浮かべる方もいるかもしれません。もちろん都立霊園にもそうした一般的なお墓があります。
一方で、複数の遺骨を一緒に埋蔵する「合葬埋蔵施設」や樹林の下に共同で埋蔵する「樹林型合葬埋蔵施設」もあります。そして、その中には自分が亡くなったあとに自分自身が入るための「生前申込」という区分があります。
令和8年度の募集では、自分ひとりのための「1体用」も用意されています。つまり「自分が入るお墓を自分が元気なうちに申し込んでおく」ことができるのです。
「お墓を継いでくれる人はいない。でも自分がどこに入るのかは自分で決めておきたい」というおひとり様にとって、知っておいてもよい仕組みではないでしょうか。
生前申込ができるのは、4つの都立霊園
ただし、すべての都立霊園で生前申込ができるわけではありません。令和8年度の募集では、
- 小平霊園……合葬埋蔵施設
- 多磨霊園……合葬埋蔵施設・樹林型合葬埋蔵施設
- 雑司ケ谷霊園……樹林型合葬埋蔵施設
- 八柱霊園……合葬埋蔵施設
の4霊園に生前申込の区分が設けられています。また、申込みには居住要件があります。令和8年度の場合、合葬埋蔵施設・樹林型合葬埋蔵施設では原則として申込期間満了日時点で東京都内に継続して3年以上住んでいることが必要です。八柱霊園については、東京都民のほか千葉県松戸市に継続して3年以上住んでいる方も対象になります。
細かな申込区分や条件は霊園によって異なりますので、実際に申し込むときにはその年度の「申込みのしおり」を確認する必要があります。
※ここで紹介している募集内容・申込資格等は、令和8年度(2026年度)「東京都立霊園使用者の募集 申込みのしおり」に基づいています。募集内容は年度によって変わる可能性があります。
申し込めば必ず入れるわけではありません
もうひとつ知っておきたいのが「抽選」です。都立霊園は募集数が決まっており、申込者が募集数を上回った場合には抽選になります。ですから「申し込めば自分のお墓を確保できる」という制度ではありません。それでも、こうした制度を元気なうちから知っていれば募集の時期に申し込んでみることができます。
もし当選しなかった場合に備えて、民間霊園や納骨堂、樹木葬など、ほかの選択肢も一緒に考えておく。そんな準備の仕方でもよいと思います。
ちなみに、生前申込で使用許可を受けた場合、使用許可から納骨までの期限はありません。早めにお墓を用意できたからといって「何年以内に入らなければならない」というものではありません。
お墓が決まりました。でも…
さて、生前に申し込み、抽選にも当たり、資格の確認を経て無事に使用許可を受けました。これで「自分が入るお墓は決まった」とひと安心です。ただ、おひとり様の終活として考えるとここでもうひとつ確認しておきたいことがあります。
自分が亡くなったあと、誰がそこへ納骨してくれるのでしょうか
自分のお墓を生前に決めることはできます。しかし、亡くなった本人が自分の遺骨を持って霊園へ行くことはできません。誰かに遺骨を受け取ってもらい、必要な手続きをして生前に決めておいた都立霊園へ納骨してもらう必要があります。
「お墓を決めておくこと」と「そのお墓に入れてもらうこと」は別の準備です。ここはおひとり様のお墓を考えるときに忘れたくないところです。
自分のお墓まで「たどり着く準備」も
頼める親族や知人がいるのであれば、自分が都立霊園の使用許可を受けていることや関係書類の保管場所などを伝えておく方法があります。
頼める人がいない場合には、死後事務委任などを利用して亡くなったあとの手続きや納骨をしてもらう人をあらかじめ決めておく方法もあります。
生前に自分のお墓を決める
↓
納骨をお願いする人を決めておく
↓
お墓や関係書類について伝えておく
↓
亡くなったあと遺骨を受け取ってもらう
↓
必要な手続きをして生前に選んだお墓へ納骨してもらう
お墓を用意するところで終わらず、「自分が選んだお墓までどうやってたどり着くか」まで準備しておく。これもおひとり様の終活では大切なことだと思います。
「こんな選択肢がある」と知っておく
お墓にはいろいろな形があります。お寺のお墓が合う方もいれば、民間霊園や納骨堂、樹木葬が合う方もいます。都立霊園にも申込資格があり募集数が決まっていて抽選になることもあります。
すべてのおひとり様に向いているわけではありませんが「お墓を継いでくれる人がいなくても自分が将来入るお墓を生きているうちに自分で申し込める仕組みが都立霊園にもある」ということは知っておいてもよいのではないでしょうか。知らなければ選ぶこともできません。
お寺のお墓、民間霊園、納骨堂、樹木葬などと並んで「都立霊園」も自分のお墓を考えるときの選択肢のひとつ。そしてお墓を決めたら自分が亡くなったあとそのお墓まできちんとたどり着けるようにしておく。そこまで考えておくこともおひとり様の終活では大切な準備のひとつです。
※参考:令和8年度「東京都立霊園使用者の募集 申込みのしおり」(東京都・公益財団法人東京都公園協会)










