お客様からこんな質問をいただきました。「死後事務委任契約はなぜ公正証書で作るのですか?」たしかに、あらためて聞かれると気になるところです。
遺言には自筆証書遺言や公正証書遺言など法律で定められた方式があります。また、任意後見契約は公正証書で結ぶことが法律で定められています。一方、死後事務委任契約には「公正証書でなければならない」という決まりはありません。
それではなぜ公正証書で作ることが多いのでしょうか。
本人に確認できないときに使われる契約
死後事務委任契約には一つ大きな特徴があります。この契約に基づいて実際にさまざまな手続きが行われるのはご本人が亡くなったあとです。
契約を結んだときにご本人がどのようなことを希望し誰に何を託したのか。後になって疑問が生じてもその意思をご本人自身に確かめることはできません。そのため、本人の意思や託した内容が後から確認できる形で残されていることが大切になります。
手続きをする人の立場から見ると
実際に死後事務を行う人の立場から考えてみます。
ご本人が亡くなったあと、受任者は金融機関をはじめさまざまな関係先とやり取りをすることになります。その中で「私はこの方からこのようなことを任されています」と説明しながら必要な手続きを進めていきます。
そのとき、公証人が関与して作成された公正証書があればご本人がどのような意思で何を託したのかを第三者に説明する際の支えになります。
もちろん、公正証書があればどのような手続きでもそのままできるわけではありません。金融機関などそれぞれの関係先で必要となる確認や手続きはあります。それでも、ご本人がもう自分では説明できないときにその意思を確認できるものが残されていることは手続きを進めるうえでも意味を持ちます。
公正証書でなければならないわけではありません
死後事務委任契約は公正証書でなければならない契約ではありません。けれども、この契約が実際に使われるときにはご本人にその意思を確認することができません。そして、託された人は残された契約書をもとに関係先へ説明していくことになります。
「公正証書で作るものだから」ではなく「なぜ公正証書で作るのか」お客様からいただいた素朴な質問から考えてみるとその理由が少し見えやすくなるように思います。









