代襲相続

以前の記事で、相続が発生した時にいったい誰が相続人になるのかということで、相続人の範囲についての記事を書いたのですが、その中で「代襲相続」という言葉が出てきました。

代襲相続とは?(簡単におさらい)

本来、相続人になるはずの人が死亡などの理由で相続できないときに、その人の子が代わりに相続すること。

今回はその復習もかねて、代襲相続について今一度、丁寧に見ていこうと思いましたので、ちょっぴり追加で解説を加えていきたいと思います。

あらためて代襲相続の原因、代襲相続できる人について復習しましょう

繰り返しになりますが、代襲相続とは、

相続人となるべき者が相続開始時に、次の原因によって相続権を失う場合に、その者の子がその者の代わりに相続人になること。

上記記載の「次の原因」とは、

  • 被相続人以前に死亡
  • 相続欠格
  • 相続廃除

です。ちなみに、代襲相続する者を「代襲相続人」、代襲相続される者を「被代襲者」といいます。

ところで、上記、代襲相続発生の原因の中に「相続放棄」が入っていないのに気がつきましたか?

相続放棄についても以前に記事を書いていますが、相続放棄した者はその相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされますので(民法939条)、相続放棄した者の子は、すなわち、「初めから相続人とならなかったものとみなされた者の子」ですから、その相続に関しては一切関係がありません。というわけで、

相続放棄した者の子は、代襲相続人とはならない。

という結論になります。

代襲相続人となる人、ならない人

代襲相続はどこまで引き継がれる?~被代襲者が子の場合と兄弟姉妹の場合で異なります

被相続人の孫や兄弟姉妹の子は代襲相続をすることができますが、では、代襲相続はどの世代まで引き継がれていくのでしょうか?

代襲相続される者(被代襲者)が被相続人の子か兄弟姉妹かで違いが出てきますので、間違いのないようにしっかり確認しておきましょう。

①子~無制限に引き継がれる

子の代襲相続は、被相続人の孫、ひ孫というように無制限に引き継がれます。

②兄弟姉妹~その者の子に限られる

兄弟姉妹の代襲相続は、その者の子に限り生じます。つまり、被相続人の甥や姪までしか認められていません。

代襲相続になる?ならない?を一緒に考えてみましょう!

では、「こんな場合には代襲相続になるの?」ということで、Q&A方式でいくつか一緒に問題を解いて復習をしてみましょう!

登場人物を、父、母、長男A、その子(孫)Bとした場合、Bは代襲相続人になるでしょうか?

被相続人:父 被相続人の死亡後にAが死亡した。

Bは代襲相続人になります。

被相続人:父 被相続人の死亡後にAが相続放棄をした。

Bは代襲相続人になりません。Aは初めから相続人とならなかったものとみなされていますので、その子であるBはこの相続に関して一切関係がありません。

被相続人:父 被相続人の死亡後にAの相続欠格事由が発覚した。

Bは代襲相続人になります。民法887条2項。

被相続人:父 被相続人の死亡前にAが推定相続人から廃除された。

Bは代襲相続人になります。民法887条2項。

被相続人:父 被相続人が遺言に「全財産をAに相続させる」と書いていたが、被相続人の死亡前にAが死亡した。

Bは代襲相続人になります。ただし、Bは受遺者としてのAの立場を引き継ぐことはできませんので、法定相続分を前提にAの代襲相続人となります。

被相続人:父の兄 被相続人の死亡前に父とAが死亡した。

Bは代襲相続人になりません。兄弟姉妹間の相続に関する代襲相続は甥であるAまでの1回限りです。被相続人から見て甥の子にあたるBには相続権がありません。

代襲相続については、以前に「相続人の範囲」の記事で取り上げていますが、今回はさらにじっくりと掘り下げてみました。

すでに取り上げた話題でも、必要に応じて、繰り返し表現を変えて記事にしていきますので、さらに理解が深まればうれしく思います。