私のプロフィールを見て「おやっ?」と思われた方がいるかもしれません。大学を二回卒業していることになっているので、「ちょっと、変わった人なのかな?」という意見も聞こえてきそうです。
私は、2019年の3月に、二つ目の大学となる中央大学を卒業したのですが、入学したのは、遡ること6年半前の2012年の10月です。かねてより、「法律を勉強して、何か法律に関係する仕事がしてみたい」と思っていました。また、「法律がある程度理解できるようになったら行政書士試験に合格したい」とも思っていました。
せっかく法律を学ぶなら大学で学びたい
「わざわざ大学なんか行かなくても、資格試験の勉強をしながら法律を学べば良いのでは」という考えもあったのですが、一方で、「多少、遠回りになっても、大学で法学を学んでみたい」という想いもありました。
高校卒業後に進学した大学では、法学とは全く関係のない学部だったこともあり、「せっかく、興味をもって学びたいと思えているこのタイミングで、今更ではあるけれど、大学に行くという選択肢もありかもしれない」と、二度目の大学生になる決意をしました。
実際に大学に入学するその1年前、37歳の時です。
さて、大学に行こうと決めたものの、この年齢です。どのようにしたらよいものか?と若干の躊躇もありました。が、とりあえず、法学部のある都内の大学にターゲットをしぼり、受験勉強を始めました。
勉強を開始した時、すでに季節は初夏を迎えようとしていました。
半年間必死に受験勉強!しかし残念な結果に
志望する大学の入学試験は年が明けて2月の初旬ということでしたので、勉強できる期間は半年とちょっと。半年間は失業保険が支給されることになっていたので、その間は仕事はせず、受験勉強だけに集中しました。
英語の勉強など何年ぶりだったでしょうか。それでも、高校時代に戻った気分で、英単語を覚えたり、読解問題を解いたりと、こつこつ勉強をすすめていきました。その他、現代文や古文、日本史なども勉強しました。
ひとりでもくもくと勉強していたので、実際、自分のレベルが受験生の中でどのくらいのものなのかなんてまったく分かりませんでした。そこで、模試を高校生に混じって受けてみたりもしました。
直前期の模試では、志望校に対しての合格可能性判定がBという結果でした。まあ、運が良ければ受かる可能性がちょっぴりあるかも?というレベルです。
そうこうしているうちに、年も明け、入試の日を迎えます。会場に入り、高校生に囲まれてなんだか場違いな感じもありましたが、とりあえず、英語と国語、日本史の3科目を受験し、無事試験は終わりました。
たしか合格発表は1週間後くらいだったと記憶していますが、発表の時間が来てすぐに大学のホームページを確認しました。が、自分の番号はありませんでした。
通信制で学ぶという選択肢がありました
「大学の法学部に行って法律を学ぶ」という目標は残念ながらかないませんでした。
よくよく考えたら、そんなに簡単に大学に行けないことなど当たり前のことです。とはいえ、一年後にまた受験をするなんてことは、この時点で現実的ではありませんでした。
なんだかもやもやしながらも、数か月が過ぎたそんな時、たまたま通信制で法律が学べる大学があることを知ったのです。
「こういう選択肢もあったのか!」ということで、いろいろ調べてみると、数は少ないものの都内でも通信制の法学部を擁する大学が存在していました。どうやら、入学試験は書類選考のみでよいとのこと。
また、学費の面でも通常の通学過程に比べればかなり低く抑えられているとのことでした。
早速、入学案内を取り寄せます。当時住んでいたところから何とか通えそうな(通信課程にもスクーリングがあるため、あまり遠すぎる場所にある大学はやめました)、慶應義塾大学と中央大学の二か所の資料を取り寄せたのですが、カリキュラムの内容などを自分なりに検討して、中央大学に願書を提出することに決めました。
中央大学の通信課程は年に2度入学のタイミングがあり、来年の春を待つことなく、10月入学もできるということだったので、出来るだけ早い時期に入学したいと考え、2012年10月、中央大学法学部通信教育課程の3年次に編入学しました。
一応、既に大学卒の資格があるということで、3年次からの編入学が可能だったのです。
入学の手続が終わると、まずは履修の登録です。卒業までに必要な単位は131単位。ですが、私の場合、3年次からのスタートでしたので、一般教養の51単位は免除となり、専門科目の80単位が卒業要件でした。
履修登録が終わって、まずびっくりしたのが、自宅に送られてきた大量の教科書。はじめにまとめて送られてくるので、入学早々不安になる人も多いと聞きます。
とりあえず、興味の持てそうな科目から手を付けることにして、学習の順番を考え始めました。
とにかくレポート課題が大変でした
各科目は4単位で構成されています。ですから、80単位を取得するには単純計算で20科目分の単位を取得しなければなりません。
通信教育課程は、課題に対してレポートを提出することにより単位を取得するのですが、レポート1通の合格で1単位分、4単位分合格すると、単位認定の試験を受験することができます。
そして、単位認定の試験に合格することで、その科目を終了したと認定されて4単位が付与されるという仕組み。それを20科目分積み重ねるわけです。気が遠くなります。
ちなみに、レポート1通分の分量は2,000~3,000字程度。『〇〇について論ぜよ』といった課題に対して、教科書を調べたり、関連文献を探したり、判例(裁判例のことです)を調べたりして、なんとか形にしていくのですが、はじめは書き方が全く分からなくて相当苦労しました。
レポートの書き方には一定のルールがあるので、ただ教科書の内容を丸写ししたようなレポートは当然、即不合格ですし、そもそも教科書の内容だけではカバーできない課題もたくさんありました。
事例形式の出題も多く、1通のレポートを書くのに1か月以上かかったり、酷いときには、何回も不合格になって書き直しているうちに年度が変わって課題ごと無効になってしまい、それまでの努力がすべて水の泡になった、なんてこともありました(レポートの課題は毎年変わります)。
今でもいくつか当時のレポートが手元に残っているのですが、数えてみたら49本のレポートが残っていました。平均2,500文字で49本、122,500文字。なかなか頑張っていたみたいです。
やはり大学キャンパスで学べるスクーリングは楽しい
80単位分すべてレポートを提出することもシステム的には可能なのですが、現実的ではないので、私はスクーリングを積極的に利用していました。
1科目につきだいたい年1回実施されるのですが(日時の都合が合わなければ、その科目は翌年まで受講する機会がないことも)、まるまる3日間を費やして実際の授業を受けます。
通学生が半期に受ける授業(11コマ分)を3日間にぎゅっと凝縮して受講するので、これはこれでハードなのですが、レポート学習よりもやはり講義は楽しく感じていたので、毎年8月に実施される夏季スクーリング(お盆前後の10日程度開催されます)は仕事の休みをとって、3~4科目受講していました。
スクーリング参加の期日までに、あらかじめレポートを2通提出し、2単位分取得しておけば、スクーリングを受講することで2単位分、合わせ技で4単位です。スクーリングの最終日に1時間の試験を受けて合格すれば、正式に1科目4単位取得となります。
「スクーリングで実施される試験の方が、通常の単位認定試験を受けるより合格しやすい」なんて話を聞いたりしていましたが、私の場合は、スクーリングをせっかく3日間も受けたのに、最終的に不合格で単位認定なし。なんてこともありました。
そんなこんなで、思ったより単位の取得はのんびりで、1年あたり10~20単位ほど、地道に積み上げていくといった感じでした。
学習会への参加も継続のモチベーションに!
レポート課題やスクーリングの他、学習の助けになったのは、学生会支部という地域ごとの集まりです。都内にもいくつかの支部がありましたが、私は自宅から通いやすかった八王子(大学のキャンパスも八王子です)の学生会に入学してすぐに参加したのですが、学習のサポートになるようにと学習会(勉強会)が毎月開催されていたので、出来るだけ毎回参加していました。
毎回、科目とテーマを決めて、中央大学の講師以外にも、他大学の教授や現役の弁護士、中央大学OBの教授などいろいろな方が講義してくださいました。
学習継続のモチベーションにもなり、おかげでなんとか挫折することなく卒業まで到達できたのではないかと思います。
多少時間はかかってしまったものの(3年次入学にもかかわらず6年半!)2019年3月に晴れて中央大学法学部通信教育課程を卒業しました(行政書士試験に合格したのも在学中です)。
入学することは比較的簡単にできますが、卒業するのはそれなりの根気が必要です。
私の場合、卒業までにたくさんの時間を費やすことになりましたが、卒業まで辞めないでよかったと思います。
これが、私のプロフィールが少し変わっている理由です。